2012年5月31日木曜日

日本の伝統芸術芸能・仏像と能面

            能面と能楽佛像と佛像彫刻 
                           <その005




 今年はどうも空梅雨気味の様子が見えてきました。毎日真夏のような日が相変わらず続いております。本日は朝からどんよりとした久しぶりの梅雨空。でも明後日からはまた天気勝ちの様子が続きそうです。
レーダー情報を見ていますと、沖縄方面は土砂降りでも奄美方面は晴天とか、とにかくうまく連動はしていない感じ。良い面もあるのですが、こう独自性を発揮されては今後困ることになるかも。でも昔から天気のことは人間の能力の範疇外のこととて、神頼みあるのみですな。



  
 さて、先回は木彫の仏像について少し書いてみました。木彫の仏像の製作方法は大きく分けますと、一木造り(丸彫り)と寄木造りの二種類あります。また、この二つの中間的な製作法として、挿し御首の手法があります。
挿し御首・・・佛頭をその他の部分独立させて彫りだし、最後の段階で組み立てるという手法です。
掲載された木彫の写真は、先般ご紹介した松久朋琳、宗琳仏師の彫像されたものを「続・仏像の彫刻のすすめ」から転載しております。正に名著ですのでこれから仏像彫刻をされようとされる方は、是非ご利用ください。


         一木造り・松久 宗琳 作(続・仏像彫刻のすすめ より
                                                           
  

この仏像は御首は挿し御首になっております。

寄せ木造り

一木造りのような仏像は、材料が豊富な、且つ巨木が簡単に手に入る時は宜しいのですが、仏像が大きい場合、巨木がおいそれと手に入らない場合は、数本の木を張り合わせて一木のように見立てて、彫刻しなければなりません。
能面の面打ちの場合でも、良い木が少なかったり(脂が各所に出ている場合)には、仏像と同じく張り合わせて、一木と見立てて彫り上げるしかないことになります。特に巨大な仏像などは寄木の手法でなければ、現在では無理でしょう。


寄せ木造りの設計図続・仏像彫刻のすすめ より
                       




上記の場合は4本の木を張り合わせて、一木に見立てています。完成品は一木と同じになります。もしこの仏像が巨大なものになる場合は、数本の部材だけではとても賄いきれません。従ってより数多い部材の寄せ木造りとなります。
また、巨大な仏像の場合は、日程の関係で一人の仏師が全てを彫刻することは不可能です。この場合は原型の小さな寄木仏をまず彫り上げ、それを湯で煮てばらばらにして、まるでプラモデルのような形にして、数人の仏師がその原型を頼りにして彫り上げ、最後に接着させて一体の仏像を完成させます。




 あるいは鎌倉時代の運慶のように、荒彫りを運慶のような棟梁が行い、それ以降は弟子が持ち場を決めて、彫り上げていくという手法をとる場合も有るようです。すばらしい生産体制ですね。感心させられます。
奈良や京都のような都仏師がたくさん居るような場所では、このような体制で数多くの仏像を製作していたようです。しかし、地方ではそうは行きませんでしたしょう。相変わらず一人か二人の仏師が全てを行うことになったでしょう。それでも地方にも都に負けないくらいの大きな仏像は確かにあります。




専門仏師を考えず、一人でコリコリ彫っていくことを希望する方はあまり気にしなくても良いことではありますが。

待望の黒薔薇>・・・瘋癲老人の庭にて



 さて、先回お見せした<十六>の額の眉ですが、二通りの作法があります。一つは薄墨で刷毛塗りのように描いていく手法と、面相筆で眉の毛を一本づつ描いていく獣眉の描き方です。

 

 
 上の<十六>は眉を拡大鏡で見てみますと、獣眉の描き方をしております。皆様の中には「市松人形」が好きな方、あるいは一体お持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、この人形の眉はどのように画かれておりますでしょうか。

                  市松人形
                 


  一目見ただけで、たまらなくなる方もお有りでしょう。 この市松人形はある名人の作です。一目で分ります。顔の造作に特徴があり、大変品格があります。ここでは誰の作は別として、間違いなく下の写真のような画き方をしているはずです。この手法は余程の手の方でなければ無理でしょう。・・・・余談ながらこの市松人形は一体、80万円以下では手に入りますまい。銀座のとある専門店でしか手に入らないと思いますが・・・・・髪も人毛を使っているようですね。


別な市松人形の獣眉 


 能面でもほぼ同じです。ですから、獣眉の手法で画かれた面は、他の部分でも素晴らしいはずです。当然並みの腕の方ではありません。瘋癲老人など夢のまた夢であります。偉そうなことを言うついでに申し上げると、能面でも市松人形でも顔の面相を一目見て評価もできますが、眉や前髪、毛書きの筆の具合でも判別出来ます。腕の良し悪しがここに出てきます。騙しが利きません。
それにしても掲載の市松人形は可愛いですな~。質八置いてでも一体手に入れたいですな~。でも、人形は新品に限ります。京都の古物商には古い名品がそれなりに有るようですが、・・・・・古い人形は怖~い!

最後に林原美術館の池田家伝来の能面3点を掲載してみます。

詳細は次回ということで・・・・


                 平太

 邯鄲男                                  若男
       

* 本日の野の花や薔薇は自宅の庭で咲いていたものです。


 同時掲載ブログ,姉妹ブログのご案内
http://blog.goo.ne.jp/nippondentougeinou    ・・・同内容のブログ
                      

http://shirasumasako.blog.fc2.com/    ・・・白洲正子著作集・読書日記http://shirasumasako.blogspot.jp/     ・・・白洲正子著作集・読書日記

0 件のコメント:

コメントを投稿